平成3年度 研究報告 大分県工業試験場
2 マクロ利用による簡易CÅD/CÅM
システムの開発研究(第一報)
機械部 大 塚 裕 俊
作を必要とする。
そこでここでは完全な工具・干渉の回避をシンプ ルなアルゴリズムにより実現するため、工具投影分
割法を採用する。
しかし、単純な工具投影分割法は分割数(N)の
2乗に比例して処理時間が増大するため複数CPU
による並列処理化などハード的な負担が大きくな
る。
そこで単体のパソコンによる高速演算処理の実現
のため剛接点探索によるソフト的な処理ステップ数
の大幅な圧縮化をはかる。
工具投影分割法の原理について、図1に示す。
1 はじめに
現在コンピュータ利用技術の進展に伴い、数値制
御(NC)工作機械による加工・生産が末端まで普及 している。
NC工作機械の効率的利用のためには、プログラ ム(NCデータ)のスムーズな作成が不可欠であるた
め、高性能のCAD/CAMシステムが多く開発され
市販されている。
しかし、汎用のCAD/CAMシステムは数多くあ
るものの、一般に高価であり、利用者各々の目的に
対して機能的にコンパクトな状態で用いられている
とは言えない。すなわちCAD/CAMシステムは、
個々の現場においてその利用目的に合致した最小限
度の機能を発揮するようなシステムであればそれで
十分である場合が多い。
また、近年のハードの高性能化・低価格化により、
このようなパーソナ)t /ユースのCAD/CAMシステ
ムを、安価なパソコンをハードとして実用的なソフ
トのモジュ」ル化とそれによるマクロシステムの即
成という方針で構成することが技術的に十分可能と
なってきている。
本開発研究では、そのような簡易型のCAD/CAM
システムの実用的な基本的モジュールとなる構成要
素について技術的に検討を加える。
なお、2次元∼2.5次元モデルについては前年度研 究報告等で検討済みであるので、3次元モデルを対
象として報告する。
2 三次元曲面に対するエ具経路の発生 CÅDによって創成された三次元曲面に対する工
具経路の発生については、曲面に法線を立てて工具
半径分オフセットする方法、対象とする曲面に対し
てオフセット曲面を創成する方法等種々あるが、複
数の曲面による複合曲面を取り扱う場合などでは、
曲面の交線を求めるなどの必要から極めて繁雑な操
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−、
、
、
︰、
剛接点(Ⅹ‥ y」)
‥ −−、 −−一
区= 工具投影分割法
曲面へ工具をZ方向に投影し、それを微小分割し てそれぞれについての工具が接触するときのZ高さ
を求め、その最大値を工具のZ座標値(ZO)とする。
平成3年度 研究報告 大分県工業試験場
Z
Yj )では、aZ/aX=0、aZ/aY=0、a2Z/aX2<0、
a2Z/aY2<0が成立するが、工具(ボールエンドミ
ル)が対象となる曲面に剛接しながら移動するとき、
この剛接点は工具径に対し被加工面の曲率が十分大
きい範囲では工具面上を連続的に移動する。
よって、1ブロック工具が移動した際の新しい剛
接点は、直前の剛接点を基点として上記の条件を満
たす点を探索すれば演算処理の上で最も合理的であ
る。
ただし、被加工面の最小曲率Rが工具半径D/2
よりも大きいときは、工具と被加工面の接触点は常
に一つしかないが、R<(D/2)となるときは複数
在存する可能性があるので接触点の総チェック又は
工具面を複数の象限に分割し、各々の象限で探索を
実施する等の方法が必要となる。
また、工具投影分割法においては、メッシュの分
割数(N)、メッシュの分割幅(△ )、工具径(D)、
被切削曲面の最小曲率(R)によって切削面の曲面
精度が決定される。
図2に最大誤差(Er )が生じる際の幾何的関係を
図2 エ具(ボールエンドミル:径D)と被切削曲
面(曲率R)
示す。ここでは、
Er =R+D/2−(D2/4+R2+D*R*COS8)05
COSO=(一2R+(4R2pN(4R2MN*D2+
D2))0・5)/N*D △*N=D
なる関係があり、これを図3に示す。
酢
500
△ ニ0.2爪m
0.15mm
//〆0.1mm
/0.05I 一皿
/ノ0。01mm
∴∴11
△ =0.2mm O.15m O.1mm
0.05mm
O。0ユm/ [mm〕 50
D(工具径)
bal l end mi l l
[mm] 50
D(工兵径)
bl l end mi l ユ
R=50m
m
R=25m
m
加]』墓
△ =0.2mm
0.15” 皿 /0・1一肌
/0.05m
ノ0。01mm
日二
△ =0.2mm O.15mm
O.1m川
0。05mm
O。01mm
[mm〕 50
D(工具径)
bai l end mi i l
[mm] 50
D(工具径) bal l end ml =
図3 工具投影分割法による誤差(Er 〉
平成3年度 研究報告 大分県工業試験場
ただし、これは理論的な最大値であり実際の切削
領域の大部分では誤差はEr より大幅に小さい。
3 複合曲面のモデリング及び実切削
以上のように工具投影分割法を土台とし、剛接点
探索を問いて演算処理を大幅に圧縮化する手法を用
いて、実際のモデルとなる三次元曲面に対して工具
経路を発生させた。
また、同時に複数の三次元曲面を対象とすること
により、工具干渉等の問題で処理の難しい複合曲面
に対する工具経路の発生を試み、NC工作機械によ
る切削を実施して同手法の有効性を検証した。
図4に2つの曲面からなる複合曲面に対する工具
経路の軌跡を示す。
このケースでは単純な工具投影分割法で処理した
場合に比べて処理時間が1/100以下となり、高速処
理の可能性が実証された。
図5 切削例
同時にそのデータにより直接NC切削加工した
例を図5に示す。なめらかな工具経路の発生、完全
な工具干渉の回避等の点で成功している。
4 ま と め
必要最小限度のモジュールからなる合理的なシス
テムの構成のためには、各要素の有効性がまず検証
されなければならない。
今回は三次元曲面を対象として、合理的な工具経
路発生の手法の提案とその複合曲面への応用を実施
し、その有効性を確認した。
参考文献
1)加藤清敬、大島道隆∴工具投影分割法及び並列 処理による三次元曲面加エ、精密工学会誌、56、
4(1990)667
2)呂恒正、三好隆志、斉藤膵政:Pl −‡ 11ap形状モデ リング方式によるCAD//CÅⅣ互システムに関す る研究、精密丁二学会誌、56、8(ユ990)1411 図掲 複合曲面に対するエ具経路
(1)Ⅹ2十Y2十Z2=r 2
(2)Y=A督S互N(B¢v/官幣) 1榊× 100点;D=81nm;N=100
ハード:386CPU+387 処理時間:約25分